アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス(LA)で生まれ育ったギルバート・ワトソンさん。2018年に奥様と共に来日し、NPOで英語のプライベートレッスンをされており、GOCAでも英語を教えていました。優しい笑顔のギルバートさんへ、アメリカでの生活や奥様との出会い、大田区での生活や将来の夢などを伺いました。
インタビューに先立ち、今年初め(2025年1月)に発生したLA火災についてお伺いしました。
「あの火災はお金持ちが住むエリアの近くで発生しました。私の住んでいた地域とは蒲田と六本木くらい離れているので友達も家族も無事でした。しかし私の通っていた中学校と高校は焼失してしまいました。」
来日のきっかけは? なぜ大田区だったのですか?
「妻の実家が大田区にあり、空き家になっていました。カリフォルニアでの生活の転換期に、ちょうど妻と大田区の実家を売却するかそれとも日本に帰国するか、という話になっていました。そこで私達は売却をしないで日本に行くという決断をしました。」
カリフォルニアでの生活は、テレビドラマのようなドラマチックなお話でした。中でも面白かったのは、奥様と出会った時のお話でした。

LA在住時、どのようにして奥様と出会われたのですか?
「友人のパーティーで出会った時に電話番号を交換したのですが、私はもらった電話番号がKFCとか嘘の電話番号だと思っていました(笑)。しかし電話をすると本当に彼女が出たので、とても嬉しくて驚きました。それから何回もランチデートを重ねて2006年に結婚しました。」
奥様がはじめてギルバートさんの自宅を訪れた時は、怪しい物があるんじゃないかと、キッチンなど家中のドアを開けて確認されたそうです。今では笑い話ですが、付き合った当初、彼女はアメリカに対して怖いイメージを持っていたようで、ナーバスになっていたんです、と笑顔で話してくれました。
大田区に来られて、どう感じていますか?
「大田区はとても生活しやすいです。渋谷などのように人は多くなく、大きいビルも少ない。趣味のウォーキングをする時に近所で挨拶ができる、私にとっては完璧な街です。さらに、交通の便も良く、電車やバスで色んな街に簡単にアクセスできるので、とても住みやすいです。」
ウォーキングは大井町や池上本門寺まで歩くこともあるそうで、もう一つの趣味のウィンドウショッピングをするのも好きだとか。


スポーツが盛んなLA出身でウォーキングが趣味ということで、スポーツについて聞いてみました。
「私自身は、スポーツをほとんどしてきませんでした。たまに遊びでアメリカンフットボールをしていたくらいです。ご存じの通り、LAにはドジャース(野球)、レイカーズ(バスケットボール)、ギャラクシー(サッカー)など多くのプロスポーツチームがあります。特に今はドジャースの大谷選手が大好きです。人となりがとても尊敬出来ます。」
2028年にはオリンピックが開催されるので、LAのスポーツはより盛り上がっていくのでしょうね。
日本食は好きですか?
「アメリカでは日本食は高価なので、頻繁には食べられませんでしたが、かつ丼などが好きで何回か食べました。日本に来てからもお寿司やかつ丼などは大好きです。その他ラーメンやうどん等も好きです。でも納豆はダメです(笑)。臭いは大丈夫なのですが、あのネバネバがダメです。オクラもダメです。刺身や焼き魚は食べられますが、煮魚が苦手です。」同じ魚でも煮魚が苦手なのは、生臭さを感じるからだそうです。
魚の話が盛り上がってきたところで、話題は小さい頃の話になりました。
「9~10歳の頃、近くの海岸にグルニオンという魚をとりに行きました。(産卵のために)海岸に上がってきたところを手で掴んでとることができます。ある日、他のこどもたちがとったグルニオンを投げ合っていて、彼らの投げたグルニオンが私の方にも飛んできて、身体に当たりました。私はそれが嫌で、その後家に帰ってもグルニオンの料理が出てきました。以来、グルニオンが苦手になりました。」 グルニオンはアメリカ西海岸でとれる魚だそうで、画像を見せてくれながら楽しそうにお話してくれました。
日本とアメリカの文化の違いや日本での苦労を教えてください
「どちらも良い所と悪い所があります。例えば、日本人は少し保守的で、仕事中や電車の車内では静かでしゃべらないけど、お酒を飲むとリラックスして話をする。一方、アメリカ人はよくしゃべるし自己表現やアピールをしっかりします。そういった文化の違い等はありますが、私は日本の距離感や社会のルールを守る感じがとても気に入っています。」
文化の違いをしっかり受けとめてポジティブに考えられていることに感心させられました。
将来の夢を聞いてみました。
「2018年に来日して以来、日本語で簡単な会話はできますがまだまだです。これからもっと日本語を勉強して、近所の人と会話をしたり、来日して困っている外国人の通訳をしたいと考えています。例えば病院で腰が痛いと伝えたいとき、どのように痛いかを具体的に伝えることができません。本当に伝えたい事を伝えられないことがあるので、そういう時に通訳として細かく伝えることができれば良いな、と考えています。」
将来は大田区長になりたい、という冗談からはじまった将来のお話でしたが、日本語の勉強は今日から始めなきゃ、というという話になりました。
インタビューを終えて
長時間に及ぶインタビューにずっと笑顔で答えてくれたギルバートさん。インタビューが終わった後も知り合いのGOCAスタッフととてもフレンドリーにお話ししていて、人柄の良さが伝わってきました。これからも大好きな大田区の生活を楽しみながら、通訳になって活躍されることを願っています。

(隣の外国人実行委員 井上 満)