Vol.20 ラミレズ デ レオン アナ ガブリエラ さん(グアテマラ)

 

▶English

▲ウィピル(グアテマラの伝統的な衣装)を着ているアナさん

アナ・ガブリエラ(Ramirez de Leon Ana Gabriela)さんは、2年半前、グアテマラのサンタロシータから来日しました。蒲田駅前にキャンパスのある日本工学院専門学校情報処理科でコンピューターサイエンスを学ぶ留学生です。

来日当初は、日本での生活に戸惑うことも多かったようですが、来春卒業を控えた今は、忙しい学業の傍ら、国際都市おおた大使(来~る大田区大使)をはじめ、ボランティア活動にアルバイトにと、充実した毎日を送っています。

 

 

 

― 15歳の誕生日プレゼントで初めて日本へ!

▲初めての日本旅行!金閣寺の前でご家族と

「ラテンアメリカでは、女の子の15歳の誕生日をとても盛大に祝います。日本でいうところの成人式に相当します。親は娘へのプレゼントを奮発するので、かねてより少女アニメを通じて憧れていた、日本への旅が実現しました。」

ご両親と3人で、東京・京都・広島などを2週間かけて旅行した時、日本を“とても安全な国”と感じたそうです。

「母国グアテマラでは、日中でも1人であまり外出したことはありませんでした。女性が1人歩きできる日本は、自由で安全でうらやましいと感じました。」  

 

 

― 日本への留学を決意

漠然とした日本への憧れが少しずつ現実的になり、母国で大学入学後1年経った頃、卒業後のキャリアに不安を持ち、日本への留学を決意しました。

「グアテマラでは、私が興味のあるAIのエネルギー管理システムについて学ぶ機会が少ないことや、卒業後エンジニアとして働く未来が見えなかったからです。」

「そんなとき、日本にはグアテマラ人向けの素晴らしい奨学金プログラムがあることを知りました。奨学金を取得し、自分の決心を伝えた時、両親も日本がとても安全な国だと知っていたので、娘を1人で留学させる不安を抑えて応援してくれました。」

日本語力には、‘super nervous’(超不安)だったそうですが、自分の世界が大きく広がりそうな日本への期待の方が大きかったようです。

 

― 私はnoisy(うるさい)?

▲インタビュー中の様子

「最初のカルチャーショックは、シェアハウスで『話し声がうるさい!』と苦情を言われたこと。自室で両親と電話で話す声がうるさかったのでしょう。」

子供の頃から、アップテンポの音楽や人々の笑い声がこだまする“ノイジー”な雰囲気の中で育ったアナさんが、「実は、今も少しトーンを抑えて話しています」と話す様子に、ショックの大きさがうかがえます。

「また、友達同士でも感情をストレートに表現しないことが不思議!例えば、友人に誕生日プレゼントを手渡しても、『えー、いいのにー』という反応だったりすると、喜んでくれていないと感じました。」

今でも、相手の反応がよそよそしく感じる時は、「これは国民性の違い」と頭の中で切り替えながら、相手目線で理解しようとしているそうです。

 

 

― キャンパスでは「目立ちすぎない」ように!

▲学校のイベントで浴衣を着用♪おおた大使のメンバーもいます

 「クラスがお辞儀で始まること以上に驚いたのは、学生が皆、黙って講義を聴くことです。グアテマラでは、先生と生徒たちの間に多くの会話があり、クラスはいつもにぎやかでした。」

留学当初こそ、先生が問いかける質問に発言していましたが、そのうち、全員が常に黙っていることに気付き、発言を控えるようになったそうです。 

「留学生はほとんどアジア人で、西洋人は数えるほど。自分は黙っていても目立つので、できるだけ周りの空気を読むようになりました。」

留学生向けのプログラムで日本の習慣や文化について学んだことで、適応力が上がったそうです。

 

 

― 大田区に根をおろして

▲水泳を教えている生徒さんとお母さんと一緒に

 

「休日は、勉強の合間を縫ってアルバイトとボランティア活動。先月まで1年間、羽田空港のレストランで働いていました。ターミナル3は日本らしさ溢れる大好きな場所の1つです。」

人と出会うことが大好きなアナさん、次は観光ガイドのアルバイトに応募中。ボランティア活動は、大田区の国際都市おおた大使(来~る大田区大使)以外でも活躍されています。

「日曜日、矢口区民プールで子供向けに水泳指導をしています。水しぶきをあげながら、子供たちと触れあえることがとても楽しいです。」

 

 

 

― 日本へのリクエスト

 「だんだん日本らしさが失われていくのが残念。母国グアテマラでも都市部では米国化が進み、伝統文化が消えつつあります。例えば、ハロウィーンがどこの国でも季節行事になることに違和感があります。」(全く同感!)

「また、人々の服装も変わってきています。私はウィピル(アナさんが、インタビュー時に着ていたグアテマラの伝統的な衣装)を普段は着ませんし、着物姿の日本人を見る機会も非常に少なくなりました。」

「15歳の時、和歌山の高野山での澄んだ静寂と日本独特の文化の重みに感銘を受けました。日本には、素晴らしいところがたくさんあります。全ての国が、自分たちの国のアイデンティティを持ち続けて欲しいと思います。」

 

― 将来の夢

▲学校のマスコットと友人と

来春に卒業を控え、情報処理資格取得のための受験勉強とクラスメートとの卒業プロジェクトに没頭するアナさん。卒業後の進路は?

「できれば来年秋に4年制大学に編入し、日本で学位を取りたいです。日本で就職したいという夢もありますが、具体的なことはまだ決まっていません。」

母国語のスペイン語に加えて英語を駆使し、来日後上達した日本語もあわせて3か国語を操るアナさんの活躍の場はこれからも広がりそうです。

 

 

 

☆編集後記:

母国グアテマラの国鳥Quetzal(ケツァール)親子の愛らしいぬいぐるみを持ってインタビューに現れたアナさん。安心して自分の足で活動範囲を広げられる日本の生活を、明るくしなやかに謳歌されている印象を受けました。

夢を抱いて日本を目指すアナさんのような若者の期待に応えられる国であり続けたいと思います。マヤ遺跡が点在する森の中を自由に飛び回るQuetzalのように、これからも様々な夢に向かって羽ばたいてください!

 

 

中南米に生息するQuetzal(ケツァール)は、グアテマラの通貨単位でもあり、スペインが征服中、命を落としたグアテマラ兵士たちの霊を慰めた鳥という言い伝えもあります。

「隣の外国人」実行委員 坂本

 

 

                    

 

タイトルとURLをコピーしました