インタビューの翌週に“25歳の誕生日を迎えます”と笑顔で自己紹介をしてくれたアイルランド人のラファエルさん。現在、大田区内の都立高校で外国語指導助手(ALT:Assistant Language Teacher)として勤務されています。
去年秋に勤務先の同僚からの誘いで国際都市おおた協会主催の「Otaスポーツで国際交流2023(フットサル)」に参加するなど、休日もアクティブに活動されています。
― ヤクルトが日本を知るきっかけ?!
ラファエルさんが日本を知るきっかけになったのは、日本でも親しまれているヤクルト(乳酸菌飲料)だそうです。これには驚きました。
アイルランドでもヤクルトが親しまれていて、アイルランド製ミルクを使って日本の製法をそのままで製品化されているとのこと。ラファエルさんはヤクルトが好きで、子供の頃から飲んでいたそうです。
また、小学生の時は祖母がプレゼントしてくれた日本のカードゲームやゲームボーイ、高校時代には日本のアニメ「日常」を通して、さらに日本が身近な存在になったと話してくださいました。
― 日本が忘れられない
大学3年生の時、1年間日本の大学に留学をしていたラファエルさんは、留学中にアイルランドでは学べなかった東アジア文化や、日本の『わび・さび』について学び、初めての一人暮らしを経験しました。「アイルランドでは家賃が高く、多くの人が家族と一緒に住んでいます。」
「都内のアクセスの良さを活かし、好きなアーティストのライブや旅行を楽しむ一方で、多くの友人との出会いもあり、充実した時間を過ごしました」とラファエルさんは振り返ります。
アイルランドに帰国後、大学を卒業しホテルで働き始めましたが、日本の便利さと楽しさが忘れられず、1年後の2022年8月に大田区のALTとして再来日され、現在に至ります。
― 同じ島国、アイルランドと日本の違い
同じ島国であるアイルランドと日本の違いをラファエルさんにお聞きしました。
アイルランドは、島国独自のオリジナリティが高い文化と伝統を継承しつつも、アメリカとヨーロッパ諸国の間に位置するため他国を受け入れることにも柔軟で、移住・留学生・旅行者も多いとのこと。
日本在住のアイルランド人はまだまだ少数。アイルランドは北海道と同じ緯度のため、酪農が盛んで、乳製品がとても美味しい。日本にはアイルランドの乳製品が売っていないのが残念だとおっしゃっていました。
― ママチャリ大好き!
「来日して驚いたことは?」とお聞きすると「ママチャリ!」との意外な返答でした。北海道と同じ面積のアイルランドは電車が走っておらず、バスか徒歩が主な移動手段だそうです。それに対し、日本ではママチャリが安く入手できる上に、日本の道路には自転車専用レーンがあり、どこにでも自転車で行けることに感動したそうです。
日本留学中に知人と瀬戸内しまなみ海道をツーリングしたそうですが、現在も片道2時間以内の場所であれば休日に自転車で出かけるというアクティブさ。もちろん、毎日の通勤は雨の日も片道20分のママチャリです。
― もっと仲良くなりたい
去年の夏、大森神社御祭禮に初めて参加し「人との交流がとても嬉しかった」と笑顔で話してくれました。
ラファエルさんが生まれ育ったアイルランドの地元は田舎で人口も少なく、とてもフレンドリーな環境だったそうです。それに対して、東京は人口が多いためか、知らない人と話す機会が少なく“もっと仲良くなりたい、少し寂しい”と感じていたラファエルさん。
みんなで神輿を担ぐことで一体感を感じ、寂しさが少し和らいだようです。こんな素敵な文化に「もっとみんな参加したらよいのに」と、熱く語ってくれました。
― 将来は日本で教師になりたい
ラファエルさんに将来の夢をお聞きしました。
「ALTとして働いたあとは、学校の先生か大学の教員になりたい」と語ってくれました。
現在、都立高校のALTとして高校生と日々接する中で、日本の高校生は「リスニング(英語を聞く能力)はあるが、スピーキング(自分の意見を話す能力)が足りないと感じる」と、おっしゃっています。そのため、英語でのディベート(話し合い)や日々感じたことを英語で日記にしてもらうなど、生徒自身の考えや気持ちを英語で表現することができる魅力的な授業を展開されています。
大学院に進まれ、さらにパワーアップしたラファエルさんの授業はどんなものになるのでしょうか。
☆編集後記:
1時間のインタビューの予定が、気がつけば2時間が経過していました。最後に「日本は好きですか?」とお聞きすると、満面の笑みで「もちろん好きです!」と答えてくれました。
インタビュー後は、「今から横浜で同僚家族と味噌作りに行きます」と急いで駅に向かっていきました。日本を楽しみつつ、将来をしっかり見据えたラファエルさん。知人からプレゼントされたというアイランドの伝統ハットがよく似合っていました。Good Luck!
「隣の外国人」実行委員 柴田